石田泰のイタリア通信

イタリア通信 2013年6月27日

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2013/07/10 11:26  RssIcon

10年ぶりの伊3大労組統一要求大集会

6月22日、伊3大労組(1120万人)統一要求10万人を越える大集会がローマ市内で開かれた。「労働は民主主義!」をスローガンに3大労組書記長が10年ぶりに揃った。演壇から「実行されない口約束はもうたくさんだ。国民は答えを今すぐ求めている。勤労者と年金者に消費を拡大させる為の生産増産と国庫の再配分、レッタ政府は勇気を持って無用な論議を排して労働に関する減税を勤労者、年金生活者、企業にせよ。我々の闘いは中断することなく続き、もし、中断すれば祖国へのすべての希望を失うことになる」。 と政府に訴えた。この大集会にはPD新書記長エピファーニ(前CGIL書記長)と左翼のSELリーダーでプーリア州知事のヴェンドラが参加した。ヴェンドラ知事は「レッタ首相は勤労市民の立場に立って政治を進めていない」と強い姿勢で批判した。

政府は15億ユーロを青年雇用対策に

4月末に発足したレッタ政権は雇用政策を最優先に掲げてUE諸国に訴えているが成果が上がらず、24歳以下の青年失業者が40%に達した。政府は15億ユーロを雇用対策に予算化しているが財源がない。雇用対策の目玉は予算の50%支出は30歳以下を採用したら1万ユーロを雇用主に補給し、10万人以上新採用できると言う。1億が若い自営業者に、2億がニート対策費、南部地方を中心とした貧困者に1億7500万、協同組合設立に2億5000万ユーロを配分する。

財源10億€のねん出を巡って

国の借金が130%(GDP)を越え市民一人当たりの租税負担率が53%に迫ろうとしているが大連立与党は持ち家第一家屋に対する固定資産税の凍結後、30歳以下の青年失業者対策費としてIVA(売上税)1%の引き上げを決定した。しかし、IVA1%の引き上げは貧困層が2%増大する事になるので10月から実施の予定。ところで、財源はある。国防費の削減によって若者の雇用費を捻出できる。左翼のSELと5星運動が既に発注済みのF35戦闘機(1機2億)を毎年10億€12年間支出の購入費の見直し動議を下院に提出してる。この動議にPDからも16議員が署名している。最終決定は議会に移った。

危機の中で職種の浮き沈み

経済危機の深化が続くイタリア社会では職種変えが起きている。2009年から2012年に手仕事小企業数(全国商工会議所発表)が増減している業種の減少は25業種、51255社で上から建設関係をトップ(60%)に自営業、最後が製靴業513社となる。一方、増加した手仕事小企業数は13業種、約29600社で上から清掃、宅配、庭師と続く。新規から廃業数を差し引くと概ね21700社が減少になる。荒ましい経済萎縮減少と言わざる得ない。 数字で言うと27年間前の経済力に落ち込んだ。

一方で、若者の農業就業への人口が増えている。初めての出来事だ。自給自足しようと自覚した青年が増えている事は長い経済不況が生んだ現象であろう。

危機の中で家計支出の節約努力

また、世帯支出では節約が出来る家政婦・夫費、集合住宅の共同管理費のグループ支払いが始まっていて通常支払いの半額と節約努力をしている。 生協店は月初めには人々で賑わうが月終わりの週末のまとめ買い来客は減少してる。

2013統一地方選挙でイタリア中道左派連合が圧勝

4月末に中道左右連合による大統一エンリコ・レッター政権が発足した直後に実施された統一地方選は5月26.27日と決戦投票が6月9.10日に行われた。選挙民は16県都、700万人で有ったが最低の投票率で62%であった。最大の特徴は首都ローマ市で中道左派の市長が右派政権から奪還して返り咲き16都県の市長は全員中道左派が完勝した。

これで大都市はすべてPDを中心とした中道左派連合支配下(ローマ、ミラノ、ナポリ、トリノ、ジェノヴァ、パレルモ、フィレッツエ、ボローニャ、ヴェネチア、バリー、カイアリ)に入った。

棄権率の上昇は選挙民の政治不信観

地方選結果を見ると2月の国政選挙で中道左派連合が崩壊寸前だったことを考えると今回の左派完勝はほぼ奇跡的である。何が変わったのか?最悪の経済危機は底打ちと言われるが市民の政治離れは大きい。棄権者が40%を越えた、政治危機の侵化であろう。先の2月の総選挙でいきなり第一党に躍り上がった5星運動(Il Mobimento5Stelle)は予想に反して3分の1の得票に転げ落ちて、首長の決戦投票に進出した候補は皆無であった。組織の末端や国政に投票した市民の大半はPD民主党と組むように期待したがリーダー元コメデイアンのグリッロは相変わらず院外にあって政府と既成政党の無策、無用論を打つだけで派内の上下両院議員が離脱したことが大きな原因と想われる。リーダーのグリッロは地方選結果で大敗したにも関わらず「市民は何も解っていない」と責任を選挙民に転嫁して、政策綱領を持たない単なる批判勢力で「無政府」的で無責任勢力であることを自ら暴露した。

ベルルスコーニ元首相に7年の懲役と公職から追放判決

ミラノ地裁は6月24日、未成年女性を買春した容疑で起訴されていたベルルスコーニ元首相に、求刑を上回る7年の懲役と公職から追放する判決を言い渡した。既に彼は所有するメディア企業での脱税(第二審高裁でも)や、盗聴記録の漏洩でも有罪判決を受けている。メデイア王と言われるベルルスコーニの配下には三つのTV放送局の全国チャンネルの他、ラジオ、新聞3紙、週刊誌や他のメデイア有する彼の右に出る者は皆無である。ちなみに彼の3TV放送局と国営RAITV を比べても視聴率は互角である。1980年代にベルルスコニーにTV放送権を与えておきながら規制できなかった当時の左派勢力(共産党、社会党)の責任も有った言える。ベルルスコーニが今日なお強い影響力と人気を得ているのは正にこのマスメデイに依拠して自身を発信し、政府を牽制しているからだ。ベルルスコーニ率いるPDLは「地滑り現象」を起こしているとレ・プッブリカ紙は伝えている。 今回の統一地方選で完敗したPDLの党首ベルルスコーニは現在の党を捨て新党結成の準備を始めた。新党とは昔のガンバレイタリア<Faorza Italia>に戻る。

最大党PDは 

党内に10派閥が在り羅針盤を失った最大党PD民主党は全国会議を開き年内に大会を開くことで合意し、前CGIL書記長だったエピファーニを党書記長に選んだ。今回の統一地方選で大勝を得たので、先ずはさい先の良いデヴューとなった。しかし、次期首相世論調査では全政界を通じていぜんとしてフィレンッエ市長でPDの若いレンチがダントツの人気を占めている。

レッタ政権の寿命

レッタ政府は毎日PDLのベルルスコーニの顔色を伺いながらの綱渡り政治を余儀なくされているが、先にも書いたように6月24日のミラノ地裁の判決でPDLは怒り立っていてベルルスコーニ自身「平和は終わった。今後は何が起きても不思議でない」と世論に挑戦している。レッタ政権の寿命は更に不透明であるが政府は選挙法の改正に意欲をもって賢人グループに改革を諮問した。 PDLベルルスコーニは選挙法の改正に消極的である。

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